![]() |
![]() |


西川さんはチームケンズの一員として、アマチュアながらプロアスリートに混じり第一線で戦ってこられた実績があります。アイアンマンハワイも8回出場経験があり、 最高ではエージグループ6位の成績を収めています。 athlete MLに西川公人さんが入会以来、バイクテクニックとメカニズムについて 長文のメールをいただいております。 読み流すにはあまりに惜しい情報密度の濃さで、文献的な価値が高いと思われます ので槇本が編集して掲載させていただきました。 By Makimoto |
||
|
||
1) バイクの下りコーナリングテクニックについて 下りは、スキーと同じできっちりと外足に荷重をかけて、回っていきます。 コーナリングは、オートバイとまったく同じテクニックを使っていきます。 ハンドルで曲がるのではなく、体重移動で曲がっていきます。 この体重移動の時にキーになるのが、外足の使い方になってきます。 外足のペダルを下死点付近にもっていき、きっちりと外足に体重を乗せて 曲がっていきます。 初心者の方に多いのが、コーナリング中にブレーキをかける方がいらしゃいますが、 これは、挙動変化が大きく非常に危険です。コーナーの入り口までに しっかりブレーキングはしておくべきです。 また前輪が流れたら落車するしかないのですが、 後輪が流れる場合はカウンターを当てれば、 ほとんどの場合で転ぶことはありません。 つまり前輪に荷重をしっかりかけて、 前輪のグリップを失わないようにしなくてはなりません。 前輪に体重を乗せるという意味でも、ブルホーンバーのような、 ハンドルよりもドロップハンドルの方がよいでしょう。 ドロップハンドルの下の部分を持つことにより、 前輪に体重をかけることができると思います。 あと、目線を常に、コーナーの出口を見定めておくことです。 間違って、外側のガードレールなどを見てしまうと、ほぼ間違いなく、 コーナリング半径が大きくなって、最悪はガードレールにぶつかります。 オートバイと比較して自転車は軽いので、 荷重の微妙な動きでバイクの姿勢が変わってきますので、 反復練習して、自分のフレームやフロントホーク、 さらにはタイヤの特性をつかむべきでしょうね。 試合では、決戦用のホイールを使われる方がほとんどだと思いますが、 練習用ホイールと決戦用ではまったく性格が違うとおもいますので、 鰺ヶ沢や佐渡などのようにコーナリングテクニックが必要とされる コースでは、決戦用ホイールでも普段から練習しておく必要があると思います。 このあたりが、唯一マテリアルを使う種目だけにおもしろいところですね。 また、コーナリングテクニックが要求されるようなコースの場合は ブルホンバーなどではなく、通常のドロップハンドルの方が間違いなくいいと 思いますし、タイヤも柔らかめのコンパウンドのものを使うことをお勧めします。 体力を温存して、順位を上げられるのが、下り坂です。 こんな気持ちのいいことはないので、ガンガン登りの練習をして、 下りも練習しましょう!! 城岱牧場のコースはなかなかいい練習コースですよね。 ただ、コーナーが高速コーナーなので、転んだときのリスクは大きいですが。 でもコーナーの出口も見やすいし、路面状況も非常にいいので 練習にはもってこいでしょう。 2) 26インチバイクと27インチバイクの得失について まず、26,27インチのバイク特性の違いについてですが、 26インチは、フレームサイズを小さく作れるので、 背の低い(170cm以下)人には、フレームの自由度が 広がり、体にフィットしたバイクが作れます。 日本人の女子や160cm程度の男子にはうってつけだと思います。 逆に170cm以上身長があれば、あえて26インチにする 必要性はあまり感じません。 もし26インチを使うとしたらハワイのような風の強いコースには いいと思います。実際、ハワイでは26インチの比率が高いです。 それは、26インチは27インチに比べて、ホイール経が短い 為に、横の面積が小さいわけですから、横風の影響が受けにくいのです。 また、26インチであればフレーム設計によっては 重心を低くすることも可能になり、ハワイのような直線主体の コースでかつ風が強ければ重心が低い方が安定感はありますし、 前面投影面積を小さくできますので、エアロ効果もあります。 そして、トライアスロン界のトレンドは、ハワイのレースで 生まれるのが多いので、26インチがトライアスロンでよく使われる 理由はこのあたりにあると思います。 では、なぜぼくは27インチを好んで使うかというと、 ロードレーサーの世界では26インチは異端児であって、 プロの選手でもまず使うことがありません。 (ツールドフランスなどの山岳ステージでまれに使う選手がいます。) ですから27インチの方が、世界の自転車の圧倒的多数を しめています。つまり様々な用途に合わせて27インチ用に パーツが開発させています。 タイヤの種類をみていただけるとおわかりかと思いますが 26インチのタイヤってほとんど種類が限定されていますよね。 タイヤだけじゃなくて、フロントフォークも26インチ用ってあまりないですよね。 つまり、26インチの最大の欠点は、コースコンディションによって、 ホイール、タイヤなど各種パーツの選択肢が限られてしまいます。 以前は、海外の試合に出場することが多く、行った先で メカトラブルにあっても、27インチであれば、容易にパーツの入手が 可能であるのも、ぼくが、27インチを使い続けている理由の一つです。 また、26インチは27インチに比較してホイルベースが短いです。 ホイルベースがみじかいと言うことは直進安定性に疑問がのこります。 また、チェーンの長さも26インチは27インチと比較して短いために インナートップとか、アウターロウのような、チェーンがねじれる時の 変速性能が良くありません。実際、シマノの推奨チェーンラインがあるのですが 26インチだと、推奨範囲に入っていないフレームもあります。 チェンジ性能が悪いと、ロードレースの世界では致命傷になりかねないのです。 また、26インチと27インチでは、コーナリング性能に差があります。 26インチは総じて、クイックなハンドリングと、 コーナリング中の姿勢の安定感にかけます。 フロントフォークの長さが26インチは短いわけですから 当然、ハンドリングに影響しますよね。ロードレースではテクニカルなコース設定が 多いので、26インチであると、不利ですね。 27インチのバイクは100年以上の歴史があって、その間に24インチ、 26インチ、ファニーといろいろと試行錯誤があって、今の27インチに 落ち着いているのです。 トライアスロンの場合、ロードレースと比較して、コース設定が 簡単な事が多いので、26インチでも充分だとは思います。 また2,3年ほど前は、フロント26インチ、リア27インチという組み合わせ のバイクもハワイでは、トッププロが使っていました。 これは、26インチと27インチの良さを引き出そうという狙いだったのですが、 UCIのルール改正で、前後のホイール経を同じにしなくては いけなくなった為にこういったバイクが姿を消しました。 (ロードレースではダメですが、トライアスロンでは使えます。) 3)前乗りと後ろ乗り(オーソドックスポジション)の得失 自転車の乗り方として、前乗りは絶対にやめるべきです! 前乗りのポジションでクランクの回転数を 100rpm程度を維持できるでしょうか? たぶん、難しいと思います。 自転車の基本は、ペダルの回転力です。 ペダルを回すという感覚無くして、上達はありえないと思います。 自転車に乗っている間は、クランクの円周上から、 足はのがれられません。 そこで超理想論から言うと、 常に、円の接線方向に力のベクトルが向いていることがベストです。 しかし人間の足は、歩くための足であって、 回転運動するようには、出来ていないため、 反復練習して、この円の接線方向へ力を入れる練習を していけば、踏むペダリングから、回転力による ペダリングに変わってくると思います。 Q:前乗りは脚が疲れる感じがします。 A:前乗りは、大腿四頭筋に偏っています。 ところが腰を引いた後ろ乗りのポジションであれば、 大腿四頭筋と大腿二頭筋の両方をうまく使えます。 これら2つの筋肉は、拮抗筋であるために、どちらか一方を使っている 時は、一方がストレッチされた状態になりますから、 両方の筋肉を効率よく使われます。 この2つの筋肉をうまく使うには、ペダリングが綺麗に出来なくては なりません。 Q:前乗りの欠点は整理すると 1)大腿前面の筋肉に偏る。ランに足が残らない。大腿前面の筋肉は白筋が多く、持久 力がない。 2)ペタリングが踏む感じになる。回す感じでない。初心者には楽かも知れませんが、 決して高度なペタリングではない。 A:さらに大腿部だけではなく、大臀筋なども使えるし、 腹筋、背筋からパワーの源が生まれてきます。 後乗りすれば、股関節の稼働域も広がりますし、 利にかなった乗り方だと思います。 日本人は、前側の筋肉を使うことは慣れていますが、 後ろ(ハムストリング)を使うことは慣れていません。 バイクパンツをはいていて、ハムストリングが発達している 選手は、ほぼ間違いなく、回転がきれいなペダリングをします。 そして、上り坂も強いですね。 Q:後乗りは腹部の圧迫と腰を曲げる角度が大きくてつらいですね? ただエアロポジションを取る時、 前乗りのほうが腹部の圧迫が少なく楽なのです オーソドックスポジションでエアロポジション取ると腹部が圧迫され 長く続けられないのです。 腰を曲げる角度もその分きつくなる。 エアロポジションの腹部圧迫による苦しさは腹筋背筋の鍛錬や練習で 克服できるのでしょうか? A:腹部が圧迫されるほどの前傾姿勢なんでしょうか? サドルとハンドルの高低差を再度考えてみるのはいかがでしょうか? あと、一朝一夕ではどうにもなりませんが、 エアロポジションは、前面投影面積を小さくする事から生まれた ポジションでありますから、体の柔軟性が要求されることは 致し方ないかと思います。 柔軟性を高める事も必要かと思います。 腹筋、背筋などの筋力アップは、どんなスポーツにおいても 重要だと思います。「体幹」という言葉もよく使われますが この「体幹」を意識した運動こそが、最も重要だと自分では認識しています。 日本人は、欧米の人に比べて骨格形状が猫背になっていて、 「体幹」をうまく利用できないらしいです。 日常生活から、背筋を伸ばす事を意識していくことが 重要だと思います。 腰を曲げるというよりも、腰を入れた姿勢で乗るほうが良いでしょう。 ベンチプレスをするときの姿勢が、背筋が伸びて、腰が入った姿勢だと思います。 この姿勢を保ってバイクに乗ることが理想だと思っています。 自分の意識としては、腰を入れ、背筋を伸ばして乗ることを常に心がけています。 4)コナ・ウインドってすごいのでしょう? :コナウインドがすごいときは、本当に恐ろしいです。 今まで2回ほど、すごいコナウインドに遭遇したことがありますが、 日本だと台風並の風ですね。 それでいて、周りは溶岩だらけの大地で、 風を遮る物がないので、風の影響をもろ受けます。 そして、大きな溶岩と溶岩の間を道路がはしっていて、 そこを抜けた瞬間に強烈なコナウインドの横風をうけると、 自転車が横飛びするほどですし、 みんな、自転車が横風に倒れないように、 斜めに傾きながら(ヨットのように)進んでいくのです。 横風にあおられて、落車する選手を何人もみましたが、 一歩、道路から落ちると、そこは、溶岩の大地。 擦過傷もすごいです。 コナウインドが強い時は、とてもDHポジションなんてとれないし、 応援に来ていた日本人の背の小さな女の子は、 車から降りた瞬間に飛ばされて、怪我したほどです。 【編集後記】 ちなみに槇本は 26インチ前のり(シートピラー77度) と27インチふつうのり(シートピラー74度) 2台のバイクを乗り較べて、 27インチオーソドックスポジションのほうが脚が疲れない。 逆に腰が疲れてエアロポジションを長く取れない。 26インチ前乗りの方が、脚は疲れるが、エアロポジションを楽に取れる。 この得失を感じておりました。 アドバイスに従い、26インチの前のリバイクのサドルを中央から少しづつ後ろに 下げて、オーソドックスポジションに近づけながら練習していくことにしてみまし た。 その結果、26インチ前のりバイクでも、 踏むぺタリングからひくぺタリング、まわすぺタリングに近づけたようです。 ロングライドの翌日、 大腿四頭筋の張りはほとんどなくなりました。 大腿後ろのハムストリングと腹筋に軽い疲労感を感じるのみ。 参加筋群が増え、一部の筋肉に無理がかからなくなったといえます。 特に上り坂、引くぺタリングで登れ、とても楽です。 26インチと27インチバイク、前のりポジションとオーソドックスポジション どちらがいいか、雑誌を見ても業者に気を使ってか、結論を避けている感じで、 迷っていました。 このたび経験に裏打ちされた貴重なコメントをいただき、 目からうろこが落ちる思いでした。 上記の如く、ポジションを改める事によって さらにタイムアップもしくは例えタイムアップしなくても ランにより元気な脚を残せる。 以上のアドバイス、オロロンに役立ててみます。 ありがとうございました。 【参考】 白筋と赤筋 白筋は瞬発力を目的とした筋肉繊維 赤筋は持久力を目的とした筋肉繊維 大腿前面(大腿四頭筋)は白筋の割合が多い。 大腿後ろ(大腿ニ頭筋)は赤筋の割合が多い。 また腹筋、背筋、殿筋など体幹部の筋肉は赤筋が多い。 ランにしろバイクにしろ、正しいフォームは赤筋を有効に使っている。 |
| | | |
1)下りのコーナリングテクニック 3)前乗りと後ろ乗りポジションの得失 |
| | |
2)26インチと27インチバイクどちらが良いか 4)コナウインド体験記 |
| | |