アイアンマン西オーストラリア参戦記
〜真夏のサンタの贈り物〜

マッキーズ 槇本 深(ふうさん)

プロローグ:

昨年の末、とうとう還暦を迎えてしまった。

このまま年寄りになんてなりたくない。

なんとか自分の若さの証が欲しい。

若さの証として還暦アイアンマンの称号を手に入れることにする。

と、妻子による還暦祝いの席で決意したのでした。

ついでにマッキーもそろそろアイアンマンの仲間入りしてもいいころ。

 

一番高い確率で勝利を手にできそうな所として選んだのは、アイアンマン西オーストラリア。オーストラリアの西海岸、シドニーとかメルボルンとか太都市があるのは東海岸、有名なリゾートケアンズは北海岸。

西はどうも田舎のようです。

観光ガイドブックをみると鍾乳洞、ワイナリー、ダイビング、奇岩の見物など。

どれもバスで200k以上走って、個別に訪れる。やっぱり田舎だ。

 

パースという札幌くらいの街があり、そこにオーストラリアの半分に近い広大な西オーストラリア州の人口(177万)の80%強(150万)が集中している。

あと25万が広大な大陸の半分に散らばっている。

 

パースから230km南下したところにあるマリンリゾートタウン、バッセルトン。人口2万4千人。

そこがレースの会場となる街。

ジェッティとよぶ、2000m弱の長い木製の桟橋がビーチから沖に突き出ている。

これがこの街のシンボル。

そこがスイム会場。

ジェッティの周りを時計回りに1周でちょうどアイアンマンのスイム距離、3.8kmになる。

クロール右顔上げの場合、常にジェッティをみることになり、ヘッドアップして確認しなくてもミスコースや蛇行の心配がなくとても泳ぎやすいはず。

海はきれいでおだやかとの情報。

マッキーもここなら泳げるだろう。

ここに決めた。

 

バイクとランはともにバッセルトンの街を3周回するもの。フラット。ただ風は強い。

デブな私にはもってこい。坂には弱いが風はあまり苦にしません。

 

コースの半分近くは林の中。

森があなたを強い風から守るでしょう。とHPのコース説明に書いてあった。

平均的なコースと比較して、1時間は速くなる高速コースとの事。

ならば1時間は余してゴールしたいと思った。

 

 

バイクコース市街地部分

メイン会場の桟橋から海岸沿いを北上。

左手にインド洋と白い砂浜。右手には緑の芝生とおしゃれな家。そして海岸線から少し離れると、高級住宅街の中を走るようになっている。

 

バイクコース郊外

市街地を通り過ぎると湿地帯となり、その広い湿地帯の中にはペリカンや黒鳥など多くの水鳥たちが悠々と泳いでいる。

更に進むと今度は草原と林が待っていて、林の中には小川が流れているところなどもあり次々と素晴らしい景色が変わっていくので全くあきがこない。木の香りが素晴らしくその香りで本当に癒されてくる。アイアンマンに出ているのだが、きつさ苦しさといったものがまるで感じない。赤土の大地の上を一直線に伸びる道をDHポジションでひたすら進んでいく。時々森の中からオーストラリア名物“笑いかわせみ”のけたたましい鳴き声が聞こえてくる。

コース説明http://www13.ocn.ne.jp/~bunkame/result_051127.htmlより引用

 

 

 

ランコース

桟橋横のレストランでは、デッキ席のすぐ前を選手が走るので、ビール片手に“やんや”の応援である。英語で何やら叫んでいるのだが、意味が分からないのでとりあえず笑顔で通り過ぎる。

 

桟橋を通り過ぎると広い公園の中を走るのだが、特にコースが決まっている風はないので、好きなところを走りまた海沿いのコースへ戻り、更に住宅街へ入っていく。このコースは今までのアイアンマンとは異なり、完全に生活道路をランコースにしており、普通の住宅街の中をくねくねと走っていくようにできている。したがって応援している人々も家の前で応援しているという形で、アットホームな雰囲気である。

http://www13.ocn.ne.jp/~bunkame/result_051127.htmlより引用

 

 

出発からレース前まで:

12月2日成田発20:40

時差は1時間、

飛行時間10時間あまり。

 

123日木曜日

翌日の朝、パース着。

初めて南半球に降り立つ。

空は真っ青。スカイブルーではない。

紺色に近い、濃い青。

これは紫外線が強そう。

まともに浴びたら、やけどしそう。

前回のハワイホヌーで懲りているので

レースウェアは長袖の白に決める。

日焼け予防のこのいでたち。

前にハワイで上下これで決めている人を見たとき、ぱっと思い浮かんだのが月光仮面でした。

パースからツアーのバスに乗って230kmでバッセルトンにつく。

千尋さん(日本人)という30台前半くらいの美人のガイドさん。

社長の夫君(オージー)が自らハンドルを握る。

夫君はすくなくても10以上は年上の感じ。

「うまくやったな」と裏山鹿の呟きがどこからともなくもれた。

ガイドの千尋さんと、富田さん夫妻

ホテル中庭にて

 

途中ガソリンスタンド兼コンビニ兼ファーストフードで休憩。

オレンジジュースとチキンを食べる。とてもうまい。

人口着色料や甘味料などを一切使っていない。

オーストラリアは食にうるさい国とのこと。

これは今からどんなうまいものを食べられるのだろうとおおいに期待したのでした。

バッセルトン到着。

宿泊したエスプラネイドホテルの中庭。

二階建てのコンドミニアム風ホテルです。

 

受付は今日までとのこと。

ホテル到着後、すぐに大会本部に向かう。

アイアンマンビレッジと標識があり、巨大なテントがいくつも建てられ本部になっていた。

まるで博覧会の会場のよう。

万博とまではいかなくても、20博くらいはありそう?

 

地元の人が、前にサーカスが来た時もここにテントをはったといっていた。

広いが大きな建物がない人口の少ない町なので既存の建物では間に合わない。

テントというのも、なにかお祭り気分が盛り上がる。

エキスポは品揃えよく、とても充実していた。

品揃え豊富だったエキスポ

 

ここでマッキーのスイムゴーグルを買う。

広い面積で接触し顔にかかる圧力を減らす構造。

初めて見るタイプ。

以前に、チェジュで瞼が腫れて目が見えなくなったことがある。

これはたぶんよい。

大正解で、本番2時間余りのスイムで、最後まで視界良好でした。

 

あと、大会記念のプリントつきバイクジャージ上下セット。

完走できれば、大いにいとおしくなるし、完走できなければみるのもいやと疎ましくなるだろう。

レース後に買うというマッキーに、思い切りが肝腎。買うべしと背中をおした。

富田さんも先行投資。

買えば完走できる。

世の中そんなものだよ。と話す。

 

あとは定番のエアーボンベを購入。

これは、毎回買って、廃棄して勿体ないものです。

富田さんは、ハワイのコナの某所にビニールに包んで、土に埋めているそうです。

 

ふうさん バイクゴールを前に。

なんとかアイアンマンのバイクを6時間台でゴールしたい。

後ろはアイアンマンビレッジ本部。

巨大なテントが林立している

 

マッキー スイムゴールを前に

はたしてここをくぐれるか?

ここさえくぐることができたら!

 

自転車を組み立て、試走。

トラブルはなさそう。

オーストラリアは車両左通行で日本と同じ。

ついでに距離も重さもメートル法。

わかりやすくてよい。

ジェッティにいって試泳。

初めてみるインド洋。

きれいです。

透明です。

なんとジェッティは老朽化して、新規改装工事中。

千と千尋の神隠しにトロッコが走るシーンがあるそうですが、そのシーンと偶然か、あるいはここの景色がヒントになったのか?

そう言われているバッセルトンのジェッティ。

残念ながら、今回は300mくらいで立ち入り禁止になっていた。

海は白い砂で、透明。

ビーチの白い砂

マッキーの真っ黒な脚とのコントラストが鮮やか。

 

小魚の群れが泳ぐ。

波は静か。

誰かが、沖に背びれのようなものが見えたとのこと。

地元の人に聞くと、たぶんイルカだろう。

サメはあまり出ないから心配しなくていいとのこと。

「たぶん」とか「あまり」とか少し気になるが、

まあ背びれを見たらイルカと信じるしかないでしょう。

風は強いが、ナチュラリスト岬というのが西側に張り出して浅い湾のようになっている。

風はだいぶ岬に遮られて、海は比較的静か。

とても泳ぎやすい。

これなら大丈夫と一安心する。

ジェッティの入り口

トロッコの線路がある

スーベニアーショップが見えている。

1900m先の先端には水中水族館がある。

今回は工事中で入れなかった。

空は水平線こそスカイブルーだが、少し上に上がると藍色に近い濃青色になる。

青が上に行くにつれだんだん濃くなっていくグラデーションに注目。

北半球とは違う空の色。

 

スイムエントリーゲート

 

夜はカーボパーティ

のり良く楽しそう。

だがオージー英語は聞き取りにくい。

あまり口に合うものがなさそうなので程ほどにして夕食に繰り出す。

 

クイーンズ通りという、街で一番にぎやかな通りがある。

700m。

全部平屋。

これが木造ログハウスなら完全に西部劇の街だ。

建物こそコンクリートのものもあるが、まさに西部劇の町並み。

ワイアットアープやドクホリデイが出てきそうな感じ。

オージーたちも雰囲気がワイルドで西部劇的。

 

明るく野生的でひとなつっこい。

スポーツ大国なのか、ハワイほどめちゃくちゃ太った人は少ない。

太った人でも、筋肉の芯がある。

みんなたくましい。

今回で3回目出場という、札幌のU君の勧めでホテル近くの中華料理屋に行く。

なかなかいい味でした。

そしてここだけが口に合った店でした。

食べ終わって外に出ると寒い。

16度位。そして風が強い。

昼間は30度。

一日のなかに四季がある。

富田さんはすこし風邪気味です。

夜は一部のバーをのぞき、早々と店が閉まる。

早寝早起きの健康的な国民性。

 

12月4日金曜日

今日はバイクとトランジッション用品の預託。

それがすむと競技説明会。

 

二日目なので、オージー英語が少し耳に慣れかけてきた。

ダイ、ライス、アイドスタイシオン、ウェルダン

こう聞こえるオージー英語、何だと思いますか?

day, race, aid station, well doneでした。

幸いスクリーンに字幕を出してくれていたので何とか理解できた。

字幕と耳を合わせて、上記を聞き取ったのでした。

夜寒かったので、防寒用のベストをエキスポで買う。

 

軽く散歩して、昼も夜も例の中華料理屋に行く。

夜は早めにお休みなさい。

ここでマッキーがめそめそ泣き始める。

大事な亡娘の写真が入ったお守りをなくしたらしい。

どうやら砂浜で。

レースに出ないで1日写真を探すという。

苦労してなだめすかして、ようやく眠りにつく。

 

12月5日土曜日

 

スイム編:

快晴。

風はそこそこ。

いいレース日和。

1300人の参加者がビーチに集まる。

あちこちでエールや勝どきのような叫び声が上がる。

いやでも気分は盛り上がる。

しかし、

マッキーの顔色がさえない。

眼が死んでいる。

コリャやばい。

このままでは、スイムを泳ぎきれない。

そこでついて泳ぐことにする。

スタートのホーンが鳴る。

いっせいに泳ぎだす。

スイムスタート。例年なら、1800m先のジェッティ先端までギャラリーが歩いてついてきてスイムの応援をしてくれる。奥が古いジェッティ。手前が新造中の新しいジェッティの橋げた部分。今年は工事中で立ち入り許可300mまででした。

 

 

例によって、80%くらいのところに位置する。

マッキーの泳ぎは硬い。

しかし下の砂を見ると、いいスピードで進んでいる。

ジェッティを見ながら、ロスなくいけるはず。

ところがジェッティが工事中のため、近づくと注意される。

30mくらいは離れて泳がされる。

ジェッティに近づいては、カヌーのマーシャルに押し戻されるの蛇行を繰り返す。

やがてジェッティの先端に到着。

半分終了。

ここで時計を見るとちょうど50分経過。

よかった、楽勝だと思った。

折り返す。

波がある。

沖は、湾の風よけが届かず、吹き抜けている。

陸から沖へ向かっての風。

いやな予感がする。

下の砂を見ると、ゆっくりとしか進まない。

離岸流だ。

去年のハワイホヌーでマッキーが逆流に負けてタイムアウトした事を思い出す。

いやな予感がよぎる。

マッキーの前にいって、ドラフティングで引っ張るのを何度も試みるがすぐ離れてしまう。

 

苦労して500mくらい戻ったところで風の影になり、波が穏やかになった。

海底の砂も、少し動くようになった。

何度も蛇行を繰り返しながらようやく岸に近づく。

カヌーが付いてくれて励ましてくれる。

 

ゴールに向かうゲートが近づく。

何とか間に合いそう。

ところがここでもマッキーが蛇行。

ゲートを横に越えてとんでもないほうに向かう。

カヌーが前を塞いで向きを直してくれた。

よかった。

砂浜に上がる。

大歓声。

後1分半。

マッキーがまだあがってこない。

やっとあがってきた。

ゴールゲートをくぐる。

あと1分まえでかろうじて間に合った。

ジェッティのゴール側。なんとかたどりつけました。

 

 

スイム

ふうさん 2時間13分56秒

マッキー 2時間13分57秒

でした。

後で計算してみると

平均秒速  47.6cm・毎秒

平均離岸流は15.4cm・毎秒

ということになりました。

あと1割スピードアップすればどうと言う事の無い流れ。

マッキーの顔に少し生気が戻っている。

大丈夫だろう。

シャワーで塩気を流して、トランジッションに進む。

 
 ---------続く---------

 


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