私のマニフェスト

JARL全国理事立候補者
JA8ATG 原  恒夫
ex HS1AHM,S21ZY,9N1AT,3W8JP


1 はじめに
  JARL理事会は、17人の理事が議題を審議し最終的に多数決で決定します。ですから、「私のマニフェスト」は、少なくとも9人の理事の賛同を得なければなりません。私が、JARL理事に当選したとしても、このマニフェストに少なくとも原以外の8人以上の理事の賛同を得なければ、実現出来ません。実現のためには、1票を原に投票していただくだけでなく、引き続き、「JA8ATG 原恒夫」への皆様の強力な支援が不可欠です。どうぞよろしくおねがいいたします。

2 今、JARLがすべき優先課題はなにか

  
「新社団法人」への移行がありました。新組織への以降は、法律の改正に合わせただけのものであり看板を書き換えただけに過ぎません。活動内容はなにも変わっていません。今、緊要でかつ重大な課題があります。それは、大きく二つあります。

(1) いかに我々の文化を次世代に伝えていくか

  人類の文化は、何万年と伝えられ、現在に至っています。動物の中で、餌の取り方、命の守り方など「生きる知恵」を伝える動物はいますが、さらに人間は、「文化」を伝え繁栄してきました。わずか100年ほど前に創造されたアマチュア無線の文化は、次代に生きる若い方々に伝えられているでしょうか。そして、JARLは、若い方々に私たちの文化を伝えるために、事業を展開しているでしょうか。会員の一人ひとりが、アマチュア無線の文化を伝える活動をしているでしょうか。
 平成17年度、JARL理事会は、私JA8ATGを「青少年育成委員会委員長」に任命して、また、若い方の近くにおられる方々を委員として、1年間、6回の委員会を開催し、JARLの今後の青少年育成について検討しました。1年をかけ委員会では、理事会に答申書を提出しました。
 その結果は、どのように生かされたのでしょうか。残念ながら全く答申は生かされませんでした。形だけ事務局に「青少年育成担当」をおきましたが、1円の予算も付けませんでしたので、担当者は、全く動けませんでした。このように「格好だけつければ良い」という理事会にには、失望するばかりです。
 会員の年齢構成は、50年前に入会した高齢者ばかりになり、若い方はいなくなりました。私たちアマチュア無線の文化は、このまま消えていくのでしょう。それで、よいでしょうか。私たちだけ楽しめば、それで良いのでしょうか。
 会員の皆様は、ご自身でお気づきになっていないかもしれませんが、私たち一人ひとりは、すばらし技術と大量の知識を保有しています。しかし、技術や知識は、一人ひとりの頭脳の中にあり、それは、私たちの死によって、跡形もなく消えて行きます。時間は残っていません。後10年、20年もしないうちに多くの会員の皆さんは、別世界に行ってしまうのです。私たちの貴重な財産は、私達自らが伝えなければこの世に残していけないのです。
 私は、2000年の11月13日に、肝不全、腎不全のために意識を失いました。意識の薄らいで行く中で、56才の人生の中で、一番楽しかったことを思い出していました。10才でラジオ作りの楽しさを知り、15才でアマチュア無線をはじめ、アマチュア無線を楽しいんで来ました。多くのハム仲間との交流、ハムがきっかけでの海外勤務、人生の多くにアマチュア無線がありました。
 私は、薄らいでいく意識の中で、「もし生き返ることが出来たら、楽しかったアマチュア無線文化を伝える仕事をしよう」と思いました。
 奇跡は起こりました。2000年12月23日、私が意識を取り戻したとき、この世に生還したことを知りまし三女の肝臓をもらい「生体肝移植」が受けたとのことでした。その時、私は、「アマチュア無線の楽しさを若い方に伝える」と決心したのです。
 
 これまでのJARLの「ジェスチャーだけでの青少年育成」では、全くだめなことは理事者も会員の皆さんもお分かりのことと思います。そして、後継者作りがいかに大切かということも十分理解されておられることでしょう。私は、理事者を説得して、私のマニフェアストの実現に努力いたします。会員の皆様のご支援をお願いいたします。

(2) 健全な財政を維持すること

 JARLは、現在は赤字経営であることを認識しなければなりません。前納者皆様の積立金と会館積立金を取り崩し、補填してやっとJARLは運営されているのです。これらの積立金は、そんなに遠くない期間に無くなるのです。毎年数千万円の赤字を抱えながらの運営では、法人格の維持さえ危ぶまれます。
7万人以上の会員がおられます。会員の皆様と共に収益事業を充実し、積立金からの取り崩しがなくともJARLが運営出来る体制を作らなくてはなりません。私事ですが、私の代表している「NPO法人ラジオ少年」は、他のNPO法人のように行政からの補助金を全く受ける事なく、設立当初から黒字決算をしてきました。反対に「NPO法人ラジオ少年」から、全国のJARL支部への「半田ゴテ1000本プレゼント」はじめ青少年の無線クラブへの援助を続けています。
JARLも私たち会員一人ひとりの奉仕の精神で収益事業を展開すれば、必ず豊かな事業資金が得られると信じています。



3 私のマニフェスト

(1) 平成18年11月に答申した「青少年育成委員会」の答申の完全実施に努力いたします。(資料として、後ろに答申をつけてあります)

(2) 出版などの収益事業を充実し、赤字財政からの脱却をはかり、会員事業の充実に努力します。

(3) JARLもボランテア講師による3アマ・4アマ養成課程講習会を再開し、後継者育成と活動資金の確保に努力します。

(4) 日本のアマチュア無線制度について会員から要望を集約し、行政に要請します、その実現に努力します。

(5) 相互運用協定を大幅に拡大し、世界の国のハムとの交流親善に努力します。

(6) 会館積立金で早急に東京秋葉原にJARL事務局、会員活動のための集会室、研修室、製作室、ミーテングルーム、無線機器展示室、無線室の開設します。合わせてテナントとして無線機器販売店、パーツ販売店、関係図書販売店、などマルチな会員の活動の場を作る「JARL会館」の実現に努力をします。


(7)理事会をインターネットで公開します。とりあえず音声を生中継し、準備が整い次第画像の配信に努力します。どの理事が、何を考え、なにを発言して、何を提案しているかわからない状況の中で役員を選ぶことはきわめて不合理です。新組織になった場合は、総会の生中継の実現に努力します。


参 考 資 料


青少年育成のあり方についての答申

                                                青少年育成委員会

 諮問事項
  「青少年へのアマチュア無線の周知・啓発および青少年アマチュア無線家の活性化の具体策」

1 はじめに
  戦後再開されたアマチュア無線は、戦後の物資不足や情報不足の中ではあったが、多くの若者がアマチュア無線の魅力にひかれ仲間に加わった。社会の評価も「趣味の王様」ともてはやされ、時代の先端をいく趣味として高く評価されていた。資金的に余裕のない若者は、高等学校、大学の中で社団局を開設し、資格を持つ教員、あるいは、先輩などから無線工学や電波法規、モールス符号などを学び国家試験を受け、次々と資格を取得し、様々なアマチュア無線活動を行っていた。
 無線工学の興味関心は、単に趣味だけに終わらず、放送局、船舶通信、公衆通信などの情報通信関係の職業、電子産業など職業の選択にあたっても大いに役立だった。戦後の日本の「電子立国」としての揺るぎない基礎を我々アマチュア無線愛好家が築いたと言っても過言ではない。
 昭和47年のJARLの会員の年齢構成をみると20歳以下の青少年は実に35パーセントを占めていた。しかし、現在では、20歳以下は0.4パーセントに大幅に減少している。
 本委員会においては、なぜこのような青少年のアマチュア無線離れが起こったのかを青少年を取り巻く社会や環境の変化を知ると共に、様々な立場から青少年へのアマチュア無線への興味関心を高める工夫やアマチュア無線を楽しませるためのJARLや会員の活動のありかたを検討した。

2 社会の変化とアマチュア無線の現状
  戦後60年の中で、激変したのが情報通信技術の発展と公衆通信網の普及である。通信技術では、長く続いたアナログ通信からデジタル通信への技術革命である。文字、絵(写真)、音声、音楽、動画などがデジタル通信で国内外に瞬時に、大量に送受出来るようになった。PHS、携帯電話、インターネットなどの普及により、ユビキタス時代が到来したのである。
 我々のアマチュア無線の世界もデジタル通信への取り組みが行われてはいるが、通信の質量ともに公衆通信に及ばないのが現実である。
 しかし、我々アマチュア無線愛好家が期待する通信は、公衆通信とは異質なものが含まれている。アマチュア無線は、短波帯の電離層通信や山岳反射などの不安定な通信であったり、電信のように極めて通信速度が遅いなどである。アマチュア無線通信は高度な技術や経験とスキルを必要とし、自己訓練としての楽しみもあり、必ずしも公衆通信と進歩の歩調を合わせる必要がないと思われる。
 このように様々な公衆通信の急速な発展のため、アマチュア無線の通信は、社会から相当時代遅れの通信を行っているという認識が持たれているようで、マスコミから取り上げられることが少なくなっている。

3 学校教育の変化

  戦後アマチュア無線が再開した後、多くの教育現場においてアマチュア無線が取り上げられ、アマチュア無線が教育的な教材として、また、余暇の善用として趣味の中で意義が認められてきた。これは、多くのアマチュア無線の資格のある教職員の献身的な活動によって維持されてきた。例えば、教育現場に教職員の私物の無線機材を持ち込んで無線クラブを開設したり、放課後や休日に出勤して無線従事者資格の取得のための指導などが日常的に見られた。
 しかし、戦後の数度の教育課程の改訂により、教科の時間の削減や学習内容にレベルダウンが続いた。特に平成14年から実施された学校の週休二日制の導入により、一層教育課程の週時数が削減された。中学校や高等学校で実施されていた教育課程に位置づけられクラブ活動(特別活動)は勿論、放課後に実施されていた部活動なども大幅に削減されたのである。
 文部科学省は、教育課程の縮小の一環として、学校教育の重点として基礎的教科をあげ、クラブ活動的活動は、「社会教育」として地域へ出されたのである。
 一方、学校の校舎管理が民間警備会社に移され、放課後や土曜・日曜、長期休業中の部活などの校舎の使用も極めて難しくなっている。このため多くの学校からアマチュア無線クラブが消えた。このような現状の中で学校教育でのアマチュア無線クラブを維持することや、まして新しく開設することは極めて難しくなっている。
 このような教育現場での状況の変化については、教職にある委員から詳しく報告された。

4 現状を踏まえた青少年のアマチュア無線愛好家の育成のあり方

 様々な変化の中で、前述のとおり青少年のアマチュア無線離れは急速に進んでいる。我々アマチュア無線を長年楽しんで来た者にとっては、寂しい限りである。また、次世代以降のアマチュア無線の継続的な発展を願うJARLとしては、積極的な後継者育成活動を実施しなければならない。
 後継者育成活動は、JARLだけが取り組むのではなく、会員や現にアマチュア無線を楽しんでいる個人のレベルで、また、関係団体、無線機メーカー、行政機関などと連携して取り組む必要がある。

(1)JARLの取り組みと対応策
  これまで、JARLは、いくつかの青少年育成事業を実施してきた。しかし、青少年の会員減がここまで落ち込んで来た結果を見れば、その対応は十分であったとは言えない。
 JARLの年齢構成のデータが取られはじめた昭和47年が20歳以下の会員が全会員数の35パーセントで、10年後の昭和57年が15.2パーセントまで半減した。その後の約20年後の平成13年には、20歳以下の青少年会員は0.6パーセントまで急激に落ち込んだ。
 平成17年度から18歳以下の青少年に会費の2分の1を助成したが、現在のところ期待した青少年会員の増強に至っていない。

 ここでは、JARLが組織として行う青少年育成活動の具体策と、合わせて会員個人が行う青少年育成活動を提言する。

(2)JARLが組織的に行う青少年育成活動

 ア 青少年育成委員制度の導入  現在組織されているレピータ委員、監査指導委員とほぼ同様な組織を作り、地方本部に専任 幹事を置く、また、支部に複数の専任運営委員を置く。これ ら の委員は、これまで青少年育成活動に実績があった会員に委嘱し、JARL本部、地方本部、支部が一体となって青少年育成活 動の充実を図る。
  支部の企画した青少年育成活動には、活動に応じた経費を配分すること。また、委員の研修を各地方本部毎に実施する。この研修会に関わる必要経費も配分すること。
  この委員会を統括する「青少年担当部問」のような分掌を事務 局に置き統括する。
  

 イ 会員表彰制度の改善
   青少年育成活動に貢献した団体、個人の顕彰を毎年行い、青少年育成活動の一層の奨励につとめる。

 ウ 青少年育成委員の研修の充実
   地方本部が実施する研修の他、国や都道府県、青少年育成団体等の実施する国内外の研修活動に青少年育成委員を推薦し参  加させ、青少年育成指導のノウハウを得る。研修に参加のための経費はJARLが負担する。

 エ RV地域の青少年交流活動の充実
   アジア太平洋地域のアマチュア無線連盟と連携し、青少年会員、青年会員との交流を促進し、青少年や若い会員の国際感覚を培う。

 オ 他団体の活動への参加とアマチュア無線の紹介
   青少年団体、青少年育成団体、社会教育団体等の事業に積極的に参加し、アマチュア無線を紹介する場や機会を拡大する。
 
 カ 現に活動している青少年マチュア無線関係団体への支援と連携の強化
   すでに組織的に活動をしている全国高文連アマチュア無線専門部設立準備会、その他の団体、学校クラブ、ARISSスクールコンタクト、南極の昭和基地の局との交信等の活動の支援と連携を強化する。

 キ 各種世界大会への青少年会員の派遣
   HST.ARDF競技大会等の世界大会に青少年会員を派遣し、競技技能の向上をはかる。参加経費は全額JARLが負担する。
 ク 活動事例の集約と会員への紹介
   支部やクラブ、個人で実践している青少年育成活動事例を集約し、機関誌やホームページで多くの会員に紹介する。

 コ 青少年育成のための行政への要請
  ・アマチュア無線従事者取得の受験料、要請課程講習会の講習料の大幅低減を要請し、青少年はじめ受験・受講者のアマチュ  ア無線従事者資格取得を促進する。
  ・アマチュア局開局申請料の大幅低減を要請し、アマチュア無線局の開局を促進する。
  ・特別局等において18歳以下の青少年の体験運用を認めるよう要請し、青少年にアマチュア無線に対する興味関心を深める。
  ・144MHz帯、及び430MHz帯の不法局の徹底取締を  要請し、青少年が運用し易い周波数帯を確保する

(3)会員一人一人が実施する青少年育成活動

   会員が個人として、家族や地域などの身近な青少年にアマチュア無線を知らせ、アマチュア無線の楽しみや知識や技術を伝達することは非常に大切なことなので、JARLの組織的活動と連携しながら「青少年育成運動」として個人の活動を展開する。

   ・身近な青少年への運動の展開 会員の子弟、孫、地域の子ども会等身近な青少年へのアマチュア無線を伝承する運動を展開する。
   ・オープンステーション 土日や学校の長期休業期間中に地域の青少年などに自宅シャックを公開し、アマチュア無線の理解と啓発にあたる。
    ・ラジオ寺子屋  会員の自宅を開放し地域の青少年に電子工作、ラジオ製作、国家試験勉強会などを開き技術や知識を深める。
   ・出前講習  会員が地域の子供会、小学校などに出向きアマチュア無線を紹介したり、簡単な電子工作などをボランテアで実施する。
   ・公開運用  地域の様々な行事会場に個人のアマチュア局を移動して公開運用し、多くの青少年にアマチュア無線に対する興味関心を深める。

(4) 関係団体への協力要請

   ア 日本無線協会 ・地方都市での移動試験実施の要請
            ・受験料の大幅低減の要請
   
   イ JARD   ・10名程度の小人数の養成課程講習会の実施の要請
            ・青少年の受講料の大幅低減への要請

    ウ JAIA   ・青少年向け低価格無線機器の開発とキットの販売要請
             ・青少年向けゲルマラジオキットなど教材の販売要請
             ・養成課程講習会開催のための会場、青少年育成活動のための場所の提供を要請


5 おわりに

 アマチュア無線の年齢別分布が、高齢化がすすみ、次代を引継ぐ26歳から40歳までの会員が10パーセントを割り、次の次々代の25歳以下の会員が1パーセントに満たない現状がある。80年のJARLの歴史と、築きあげた文化を次代に生きる青少年に伝える活動の充実が急がれる。


     平成18年11月10日