道のはじまり

  時々メールで写真が送られてくる。自己紹介代わりの顔写真、ぺット、花、景色…などなど様々。時には旅行先から写真を送ってくれる方もいる。。。こうして頂いた写真は「デジあるばむ」という名前のフォルダに保存し、「写真って楽しいものだなー」と思いながら何度も眺めている。
 それがいつしか「オレでも撮れるかなー」、「まいたけに自分で撮った写真を載せるのもいいなー」という気持ちになり、デジタルカメラを買おうとネットで調べる自分がいた。
 
 ある日のこと、母がいきなりやってきておいらに「ちょっとあんた、電気屋で安かったから買ってきてやったよ」と誇らしげにカバンからデジタルカメラを取り出した。
 おいらは唖然とした。だってつい2、3日前にネットでデジタルカメラを調べていて、「コリャーやめとこう」と思っていたモノが目の前にあったのだから。

たけ 「かあさん、オレがネットで調べて買うっていったろうが」
母  「あれそうだった?でもあんた、いきなり値高のイイモノを買う気になってんでしょう?」
「そりゃーそうだ」
「最初はこれでいいんだって、改造しても使えないかもしれないでしょ」
「ごもっとも」(^。^;)
「使いこなせれたらイイモノを買えばいいでしょう」
「ごもっとも」(-_-;)
「それに、あんた飽きやすいでしょう」
「ごもっとも」(-_-#)
「それに…」
「うーーーわかりました。有り難うございました」(`´)

(こうしてバトルが繰り広げられた。。。が、これ以上は恥なのでカットします)

ヤフーデジタルカメラ

色はいいね。。。

 とりあえず道の入り口に立つことは出来た。でもおいらが思ったモノを撮れるまでにはいくつもの山を越えなければならないし、もしかすると道が切れてしまうかも知れない。。。でも歩まなければ何も始まらない。
 
 いざ出発。Digital Road!!



はじめの一歩

 作業療法士(OT)という職業をご存じだろうか?OTは、人として楽しい生活が営めるよう、残された機能を最大限に生かせるようにサポートする職業である。おいらの国立療養所には1人のOTがいて、ナースコールやTVなどのリモコン、ゲームコントローラ、パソコン環境、電動車椅子の操作等を個々の状況、機能に応じて技術的な支援をしてくれている。
 今回のデジタルカメラの件をご相談ところ、 OTになるため実習に来ている学生さんが支援してもらえる事になった。
 
学生 「デジカメの取り付けるところは電動車椅子?」
たけ 「そう。それじゃなきゃいろんな写真が撮れないしね」
「なら、あのデジカメには液晶表示画面が無いから、ファインダーが覗ける位置に取り付けだね」
「いやいや、それなら電動車椅子の走行の邪魔になるじゃん。」
「でも、ファインダーが覗かなかったら写真は撮れないよ」
「ところが覗けなくたって素晴らしい作品を撮り続ける人達がいるんだよ」
「え?」
「今年のはじめ、テレビを見てたら「見えないチカラ」という写真集の紹介してたんだけど、それは全国盲人写真展というのがあって、その展覧会に応募した盲人写真家たちの作品の中から選んだ写真からできてるんだって。
で、視覚以外の感覚をフルに働かせ想像で撮るんだそうだけど、、、人の足音、話し声、息づかいなどの物音によって方向や距離を読んでカメラの向きやシャッターチャンスを決めたり、指で触れて確認したり、肌で感じる温かさで太陽の方向を知って被写体の光線を判断するんだって」
「すごいね」
「以前からこうした方々の取り組みは知っていたけど、改めてすごいと思ったし、これは使えると思った」
「心で見て撮るんだね」
「う〜ん。というか、おいらは単なるファインダーを覗かないだけだよ。まっ。距離とか方向なんかをつかむまでには、かなり失敗を繰り返すだろうけど…」
学生さん、協力してね。

1つのスイッチでやりたいな〜
「シャッターボタンを押すのに工夫がいるね」
「そう、おいらの場合、右手、それも僅かに動く指先でしなきゃならない。黄金の親指は電動車椅子の操作に使うから、中指で押すスイッチで出来るようにしたいんだよ」
「今使ってる中指のスイッチは、電動車椅子の電源ON、OFF?」
「そう。この1つスイッチで『電動車椅子の電源ON、OFF』と『デジカメのシャッター』の両方が使えるよにしたいんだよねぇー」
「モード切替とかが出来る装置で?」
「うん。おいらはこれ以上スイッチの数を増やしても使えないしね」
「そうだね」
「装置製作のご協力、お願いします」
「はい」

 
夢から現実へ。歩みは確実に進んでいる。



その日…。

 一つのスイッチで操作する為、短点と長点を組み合わせで選択する方法をとることにした。これはおいらのベッド環境にも使っているので可能である。
 おいらと学生さんは何度も話し合い、夢の装置を作りはじめた。
何度も話し合った
電動車椅子モード
電動車椅子の電源のスイッチ
短点でON/OFF、長点をするとデジカメモードに切り替わる

デジカメモード
リセットモード
の時に長点をすると電動車椅子モードに切り替わる

夜間でも撮影できるナイトモード
の時に長点でON/OFF、自動的にリセット

カメラのシャッターボタン
の時に長点をし短点でシャッター、長点でリセット



デジカメの改造

 そして、その日がやって来た。

そんじゃー撮るぞ〜
学生 「じゃ、とりあえず装置がうまく作動するかテスト撮影してみようよ」
たけ 「第一回目は…やっぱり協力してくれた2人(OT、学生)だね。さっ、列んで列んで。」
と、2人を椅子に座らせた。
「カメラの向きが違うような…」
「エッ?もっと右かな」
といいながら電動車椅子を動かす。
「それじゃ〜」
「そうだよね。右すぎだよな^_^; 」
といいながら電動車椅子を動かす。
「そうだね」
「でももう少し…」
といいながら電動車椅子を動かす。
OT 「お〜い。いつになるんだ〜(=_=;) 」
「はい、はい。撮るよ〜ん」

ありゃ〜。まっ、初めてだから(^。^;)

「いやー私が写ってない〜」
「・・・・・(^。^;) 」

夢は簡単に叶わない。だから楽しい…