

みなさん、こんばんは。私は函館中途失聴者・難聴者協会の「てれ」です。
「函館中途失聴者・難聴者協会」という言いにくい名前なので
内輪では「中失協」と呼んでいます。関係団体からもそう呼ばれています
ので、皆さんにもそう呼んでいただければと思います。
どういう団体かと言いますと、聴覚障害者、主に「難聴者」や「中途失聴者」
が集まり、福祉向上を目指して活動している団体です。
ですから、会員の私は聴覚障害者でして音声の情報がわかりにくい人です。
それで講師を担当するには通訳が必要です。
今回の講座では聴覚障害者がいつ見学に来られても良いように、また、
受講生の方々に実際の要約筆記を感じてもらいたい。
そういう願いもありましてパソコンによる要約筆記をつけています。
要約筆記とは本来は私が「話した言葉」を、手書きの場合は手でOHP
(オーバーヘッドプロジェクター)上のロールに、パソコン要約筆記の
場合は、ノートパソコンのキーボードで打ってスクリーンに投影し「書き言葉」
にする同時通訳なのですが、事前に話す原稿がある場合は、今日のように
テキスト文書にして文字を流す方法もあります。これも立派な情報保障です。
本題に入りたいと思います。
私が担当するテーマは
「聴覚障害者の基礎知識」
「聴覚障害者と社会」
です。お手元にあるテキストに講義内容が書かれてあるのでテーマに
沿ってお話進めます。
まず「聴覚障害の種類」についてお話しします。
人間の耳の仕組み・働きというのは、「資料1」を見ていただくと理解
いただけるかと思います。
皆さんは「難聴」と聞いてどういう状態を想像するでしょうか。普通に
聞こえている健聴の人であるなら「耳が遠い」というのを連想される
のではないかと思います。
ですが、実際には単純な障害ではなくて大別して3つの種類に区分
されます。
1つ目は「伝音性難聴」といって、これは先に言いました「耳が遠い」と
いう状態を考えていただければ良いと思います。
この難聴の場合は大きめの声でゆっくりハッキリ話してあげると、割と聞き
取れる方が多いようで、補聴器も効果的のようです。ただ、補聴器に
向かって大声で話すのは、音がガンガン響くだけで逆効果ですので
注意が必要です。
2つ目は「感音性難聴」といって、奥にある内耳や聴神経部分が侵される
難聴です。これは非常にやっかいなもので、健聴の人にはなかなか
理解しにくいかも知れません。どういうものかと言いますと、 『音』として
聞こえるが、それを『言葉』として聞き取れないものです。専門的には
「語音認識」できない状態といいます。
これはとても表現しにくいのですが、周波数が合っていないラジオの音や
ピンボケの写真をイメージするとわかりやすいかもしれないです。
つまり、「解りそうだけど解らない」そんな感じです。
こういった「音」が「言葉」として聞こえないという難聴ですので、補聴器は
あまり有効でないことが多いようです。
今は、デジタル式補聴器といわれる比較的高度の感音性難聴者にも有効
なものも出てきていますが、 それでも「フィッティング」といわれる調整作業を
何度も繰り返し、それでもなかなか聞き取りにくいことも多いようです。
3つ目は「伝音性難聴」と「感音性難聴」の両方にまたがる「混合性難聴」で
そうなると補聴器もほとんど役に立たず、音をいくらか「ひろっている」
ような状態になります。
難聴者の多くは「感音性難聴」や「混合性難聴」ということで、健聴者の
方が想像されている「難聴」のイメージとはかなり異なってくるかと
思います。
難聴と言っても、人間が一人一人違うように、難聴も千差万別で、
補聴器をつけただけで聞こえるわけではないことを、まず、理解して
いただきたいと思います。
私の場合ですと、他の音が同時に発生しているケース。
例えば酒席の雑談や歌の歌詞等では、言葉がわかりませんし早口で
話される方の場合大きな声で話して頂いてもわかりにくいです。
また、片耳の障害の方や補聴器のマイクロフォンの位置によっては
音がどこから聞こえているか(これを指向性というのですが)わから
ないです。
逆説的で意外と思われるかもしれませんが、難聴者の多くは「静かな
世界」に生きているために、多彩な音が蔓延している環境を苦手とする
場合が多いのではないかと思います。
次に、中途失聴者・難聴者の分類についてお話しします。
「中途失聴者」というのは、人生の途中で事故や薬害・病気・ストレスから
突然あるいは序々に失聴していった人たちのことで、どちらかというと途中で
高度難聴になった人のことを言います。音声言語を獲得した後に失聴される
方が多く、ほとんどの人は全く聞こえなくても言葉を話すことが出来ます。
「難聴者」とは、生まれつき軽度・中度の難聴の人や、人生の途中から軽度・
中度の難聴になった人たちで補聴器で会話が出来る人から、わずかに
聞こえる人まで様々です。
「音」が目には見えないように、聴覚障害も外見からはわからない障害です。
客観的に見て中途失聴者か難聴者かはわかりませんし聴力レベルでは
決まりません。
まして、周りが決めつけるものでなく、その人が自分は難聴者だというので
あればそうですし、 中途失聴者だというのであればそうです。
この分類分けの定義というか基準はとてもあいまいです。
最終的には「その人が自分自身をどう思っているか」というアイデンティティの
問題になるかと思います。
私の場合、特に強く意識してるわけではないんですけど、生まれつきの
難聴者にあてはまると思っています。
耳の聞こえは「デシベル(dB)」という単位で表します。
「0(ゼロ)デシベル」が、一般に健聴者が聞き取れる最小の音です。
この数字が高くなるに連れて難聴の度合いも高くなります。
※この内容は、講義された方よりいただいた原稿を、本コンテンツ用に
体裁を再編したものです。